【2025 インターハイ前特集 女子バレーボール】“支え合う力”とインターハイへの覚悟―鳥栖商業、6年ぶりの全国へ

― 鳥栖商業女子バレー部、6年ぶりのインターハイへ ―
佐賀県大会を制し、６年ぶりとなるインターハイ出場を決めた鳥栖商業女子バレーボール部。毎年ベスト４の壁に阻まれてきた中、ついに掴んだ全国の切符。主将としてチームを牽引してきた久保山恵美選手が、喜びの裏にある成長の軌跡、仲間への想い、そしてインターハイに懸ける決意を語った。

鳥栖商業 久保山恵美主将

久保山選手（左）、寺田マネージャー（右）

ーーー「まさか自分たちの代で」驚きと喜びのインハイ出場

６年ぶりとなるインターハイの切符。その瞬間の気持ちを尋ねると、久保山主将は素直な心情を明かした。
「自分たちの代で行けると思っていなかったので、本当にうれしいです」
決勝の相手は、同じく全国を久しぶりに狙う鹿島高校。準決勝での激闘後、緩んだ空気を引き締めるため、仲間たちに「優勝しよう」と声をかけたという。

ーーー“家族”のようなチームが生み出す力

鳥栖商業の「らしさ」を問うと、久保山選手は「チームの一体感」と答える。
「コートに立つのは１・２年生が多いですが、３年生はその分周りでしっかり支えています。みんなが明るく、チームのために自然と動ける。本当に“家族”みたいなチームです」
この一体感が、苦しい場面でも力を発揮する原動力になっている。

ーーーベスト４の壁を超えた“当たり前の積み重ね”

例年ベスト４に名を連ねながら、決勝の舞台に届かなかった鳥栖商業。今年、ついにその壁を越えた理由について久保山主将はこう語る。
「ずっと“勝てない”という思いがあったからこそ、基本を見直しました。ゴミ拾いや挨拶といった、当たり前のことに意味を持たせて、行動し続けたことが勝利につながったのだと思います」
小さなことを大切にする姿勢が、大きな結果を生んだ。

ーーー“拾ってつなぐ”粘りのバレーが鳥栖商業のスタイル

監督から繰り返し言われてきたのは「全員で拾って、全員で攻撃する」こと。平均身長が低い鳥栖商業にとって、それが勝つための道だった。
「細かいところをやりきる“粘りのプレー”をチーム全体で高めてきました」



１年時の観桜大会での敗戦をきっかけに、チームが本気で変わった。そんなエピソードも印象的だった。
「そのとき本当に怒られて……でも、それで“変わらなきゃ”と思えたんです。今大会の清和戦も、普段なら追い付かれて負ける展開。でも最後まで粘って勝てた。あのときから成長したと思います」

ーーーキャプテンとして大切にした「目標と仲間」

「春高優勝」という目標を、入部当初から胸に抱いてきた久保山主将。キャプテンとしてチームとどう向き合ってきたのか。
「きついこともたくさんあるけど、仲間は仲間。何かあっても、ちゃんと向き合って前に進むことができました」
苦しさの中でも、目標を見失わず、支え合うその姿勢がチームを強くした。

ーーー自由に声を出せる雰囲気が、成長を後押し

鳥栖商業の試合では、選手たちの元気な声が響き渡る。その背景には、風通しの良いチームづくりがあった。
「私が入学した頃は今よりも上下関係が厳しくて、言いたいことが言いづらい空気がありました。でも今は、上下関係を良い意味でなくして、言いたいことが言える環境にできています。だから、みんなが声を出して、自然と成長できていると思います」

ーーー皇后杯予選優勝も、あくまで“通過点”

インターハイ出場直前の皇后杯県予選も優勝で締めくくった。だが、そこに満足はない。
「インターハイに向けてのあくまでも通過点であるため、しっかりと勝ち切ってチームの士気を上げられるよう挑みました。準決勝の佐賀学園とは初めての対戦でしたが、ここで負けたら清和戦の意味がなくなると思って挑みました。優勝できてよかったです」

ーーー全国の舞台へ。仲間と、支えてくれた人へ恩返しを

最後に、インターハイへの意気込みと、応援してくれる人たちへのメッセージを語ってくれた。
「平均身長が低い中でも、自分たちのバレーをやりきって、練習通り一本一本大切に、３学年全員で勝ちにいきます」。
「今まで負けてきた悔しさも、自分たちの強さです。まずは全国を楽しんで、勝って、支えてくれた人たちに恩返しができるように頑張ります」

彼女たちの夏の挑戦はまだまだ続く。
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インターハイは8月6日（水）から、ジップアリーナ岡山にて開催される。