【春高バレー 佐賀 女子 2026 】『できる』を信じ続けて　鳥栖商業主将・久保山恵美

第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会佐賀県予選会での優勝から1か月。
鳥栖商業高校女子バレーボール部は、全国大会を見据えながら日々の練習に励んでいる。10月には不調や不安を抱えていたものの、県予選を通して自分たちのバレーを取り戻し、頂点に立った。3弾構成でお届けする本記事、第2弾は主将の久保山恵美選手へのインタビューを掲載する。

久保山恵美 主将

優勝した瞬間、頭に浮かんだこと

「一番は“嬉しい”という気持ちでした。でもそれ以上に、三年間ずっと目標にしてきたことを、このメンバーで達成できたことへの安心感が大きかったです。」
その「安心」には、先輩たちから受け継いできた思いや、支えてくれた存在への感謝があったという。
「毎日の送り迎えや、遅くまでご飯を作ってくれた家族の顔が浮かびました。少しは恩返しができたのかな、と思います」

苦しんだ10月、そして巻き返し

予選に至るまでの道のりは、決して順風満帆ではなかった。
「10月は本当に苦しくて、遠征や合宿が続く中で全然勝てなかった。チームとしても不安が大きかったです」
それでも迎えた春高予選。準決勝・聖和戦ではセットを先に落とす展開となったが、そこから流れを引き戻した。
「負けてきた分が、プラスになったのかなと思います。準決勝で良い状態を作れたことで、決勝にもつなげることができました」
個人としては悔しさも残ったというが、「負けていたら一生後悔していた」とも語った。

不安の中で、キャプテンとして

直前まで勝てない状況が続き、チーム内には不安も広がっていた。
「三年生は特に春高、大丈夫かなってずっと言ってました」
そんな中で意識していたのは、「春高は必ず来る」という現実を受け止めることだった。
「不安があっても、やるしかない。夏に勝ってきた自分たちを信じて、“切り替える”ことを意識していました」

追われる立場としての戦い

挑戦者から追われる立場へ。その変化は、試合前のデータ分析にも表れていた。
「どの高校も、確実に私たちを研究しているのが分かりました」
身長では劣る分、スピードを生かした攻撃が強み。しかし、それを封じるためにブロックを厚くされる場面も多かった。
「ブロックフォローの練習をずっとしてきたので、対策されても上回るバレーができたのは良かったと思います」
研究され、対策されることを前提に、それでもなお上回る。
鳥栖商業は、追われる立場としてのプライドを結果で示した。

全国を経験して見えた課題と強み

インターハイで初めて全国の舞台を経験した。
「最初は会場の雰囲気や相手に飲まれて、自分たちのバレーができませんでした」
それでも2試合目では切り替え、1勝を挙げた。
「ただ、決勝トーナメントでは“勝てそうな試合”を勝ち切れなかった。ミスを減らして勝ち切る力が、これからの課題です」

春高予選で大切にしてきたこと

キャプテンとして大切にしてきたのは、「一日一日の積み重ね」だった。
「1日1日、1時間1時間を大切にしようと伝えてきました。お互いに指摘し合えるチームであることを意識していました」
プレーする選手だけでなく、マネージャーやメンバー外の選手も含め、「チーム全員で勝ちに行った春高」だった。

スローガンは「できる」

チームの合言葉は、シンプルな一言。
「できるです。エンジンの時に全員で言っています。できると思えば、できる。マイナスにならずに試合に入るための言葉です」
これが鳥栖商業女子バレー部の成功の哲学である。

体育館に掲げるチームのスローガン「成功の哲学」

春高本戦へ向けて

春高の舞台に向けて、主将はこう語る。
チームの目標は、全国大会での2勝。「三年生は最後なので、悔いが残らないように。笑顔で、鳥栖商業らしいバレーをしたいです」と語った。

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第78回全日本バレーボール高等学校選手権大会は、1月5日から東京体育館で開催され、鳥栖商業高校女子バレーボール部は佐賀県代表として全国の舞台に挑む。