【新人戦2026 注目チーム特集】 レスリング男子 鳥栖工業高校 髙橋礼恩選手にインタビュー

新人戦を目前に控え、新たなスタートへの準備を始めている鳥栖工業高校レスリング部。
主将の髙橋礼恩選手が目指しているのは、上級生と下級生が立場にとらわれず、互いの力を認めながら高め合えるチームだ。
自身はグレコローマンスタイルに取り組み、試合序盤から前へ出て相手にプレッシャーをかけることを重視している。中でも、自信を持つのが上半身で組み合う「差し」だ。得意なポジションに持ち込めば、「絶対に負けない」と言い切る。
新人戦で掲げる目標は優勝、そして鳥栖工業レスリング部全員がベストを出し各階級での優勝を席巻することだ。
部員それぞれがこれまでの試合で見つけた課題を修正し、次につながる大会にすることも見据えている。
今回かちスポでは鳥栖工業高校レスリング部を率いる髙橋主将に、新チームづくりへの思いや自身のレスリング、新人戦への意気込みを聞いた。
鳥栖工業レスリング部 主将:髙橋礼恩選手
学年に関係なく、高め合えるチームへ
新人戦から本格的に始動する新チームで、髙橋主将が目指しているのは、部員同士が学年に関係なく練習に取り組める環境だ。
チームには、すでに力を持った下級生もいる。だからこそ、上級生が立場や学年にこだわることなく、互いの力を認めながら練習することが大切になってくると語る。
「下級生にも強い選手がいます。上級生が『強い下級生とはやりたくない』というような変なプライドを持たず、お互いに高め合える環境にしていきたいです」
今年の鳥栖工業高校レスリング部の強みも、先輩と後輩の関係性にあるという。学年を越えて仲が良く、練習中に気づいたことや、自分の持っている技術を共有しやすい雰囲気がある。
「今年は先輩、後輩に関係なく、みんな仲がいいです。チームワークがあるので、自分が持っている技の情報も気軽に共有できます。個々が高め合って、チーム全体の力も高まっていると思います」
強い下級生がいれば、上級生も学年の隔たりなく積極的に胸を借りる。上級生が持つ経験や技術は、後輩たちへ伝えていく。
自分だけが強くなればいいわけではない。身につけた技や練習で得た気づきを共有し、一人ひとりの成長をチーム全体の力へつなげる。学年の垣根を越えて高め合える関係が、新たな鳥栖工業高校レスリング部の土台となっている。
できないところを、一つずつ埋める
新人戦へ向け、髙橋主将が大切にしているのは、新しい技を次々に増やすことではない。
自分に足りない部分を明確にし、できないことを一つずつ減らしていくことだ。
「できることを増やすというより、できないところを一つずつ埋めていくような練習をしていきたいです」
一つひとつの練習にも妥協しない。全体練習だけでは修正しきれなかった部分があれば、練習後の時間や自主練習を使って補っている。
「一つひとつの練習に妥協しないことを大切にしています。自分に足りないところは、練習後や自主練習で補うようにしています」
鳥栖工業高校レスリング部では、練習に入る前のアップにも工夫がある。ビニール製のボールを足で奪い合いゴールをするといったサッカーのようなもののほか、部員全員で一つのメディシンボールを奪い合う「レスボール」に取り組んでいる。
レスボールでは、部員が二つのチームに分かれ、マットの中央に置かれた約3キロのメディシンボールを自分たちの陣地まで運ぶ。全員が一つのボールを取り合うため、マット上では激しいもみ合いになるという。
「アップがなくて、いきなり練習が始まると体も温まっていません。アップがあることで、楽しみながら体を動かして、レスリングの練習へ気持ちを切り替えられます」
会話を挟みながら体を温め、レスリングの練習へ気持ちを切り替える。そこから始まる技術練習では妥協せず、自分に足りないものと向き合う。
また、競技以外の生活でも、レスリング部の一員としての自覚を持つことを大切にしている。寮では規則正しい生活を心掛け、学校では決められたルールを守って過ごしている。
「寮生活では、規則正しい生活を心掛けています。学校ではレスリング部は目立つので、目立つなりに学校のルールを守るという、当たり前のことを意識して生活しています」
マットの上だけでなく、寮や学校での行動にも責任を持つ。一つひとつの練習と日頃の生活に妥協しない姿勢で、新人戦へ向けた準備を進めている。
最初の1分で前へ、自信を持つ「差し」の形へ
髙橋選手が取り組んでいるのは、グレコローマンスタイル。互いの脚を攻撃に使わず、上半身のみでの攻防で勝負する。
脚への攻撃が認められていない中で相手の体勢を崩すには、力だけで押し込むのではなく、相手の動きや反応を感じ取ることが必要になる。
「相手の力が反発するタイミングや、どうすれば自分の力をうまく相手に伝えられるかを研究しながらやっています」
試合中は、感覚で動く部分もあるという。その中でも、マットの外から聞こえる小柴先生の声に耳を傾け、送られるアドバイスに従いながら次の動きを判断している。
髙橋選手が特に重視しているのが、試合開始からの1分間だ。
「グレコローマンでは、グラウンドポジションからの攻防が試合を決めるうえで大きいです。だから、最初の1分間でどれだけ自分が前に出て、相手にプレッシャーをかけられるかを意識しています」
相手の出方を待つのではなく、自分から前へ出る。序盤からプレッシャーをかけ続け、自分に有利な展開へ持ち込むことが、試合の流れをつかむための鍵となる。
その中で、新人戦で特に注目してほしいと話すのが「差し」だ。
「グレコローマンで鍛えた『差し』は、自分の強みです。そのポジションに持っていったら絶対に負けないという自信があります」
序盤から前へ出て相手に圧力をかけ、自信を持つ差しの形へ持ち込む。上半身での組み手の中から自分の力を伝え、得意な位置で勝負する。
相手の力を利用しながら自分の形をつくることが、髙橋選手のレスリングの軸となっている。
課題を修正し、新人戦の頂点へ
新体制で迎える新人戦。髙橋主将が結果として掲げる目標は優勝だ。
「目標は、もちろん優勝です」
ただし、大会を結果だけで終わらせる考えはない。これまでの試合で見つかった課題を新人戦までに修正し、その先の成長につながる戦いをすることも目標としている。
「それぞれが試合で見つけた課題を新人戦までにしっかり修正して、次につなげられるような試合をしたいです」
目標は優勝。その結果へ近づくために、現在は新しい技を増やすことよりも、自分に足りない部分を一つずつ埋めている。
チームとしても、強い下級生との練習を避けることなく、立場や学年にとらわれず全員で技術を高めていく。練習や試合で得た情報を共有し、部員それぞれが抱える課題の修正につなげる。
新人戦は、新体制となった鳥栖工業高校レスリング部が、これまでの練習の成果を示す最初の大きな舞台となる。個人として結果を残すだけでなく、チーム全体が現在地を確かめ、次へ進むための大会でもある。
最後に、新人戦への意気込みを尋ねると、髙橋主将は力強く言い切った。
「絶対優勝します」
試合序盤から前へ出てプレッシャーをかけ、自信を持つ差しの形へ持ち込む。自分のレスリングを貫き、目標とする優勝へ挑む。
主将として目指すのは、学年に関係なく互いを高め合えるチームだ。強い下級生とも正面から向き合い、マットの上では互いの力と技術をぶつけ合う。そこで見つけた課題や気づきを共有しながら、個人としても、チームとしても成長していく。
できないことを、一つずつ埋める。
見つかった課題を修正し、次の試合へつなげる。
ぶつかり合うからこそ、高め合える。
髙橋礼恩主将が率いる鳥栖工業高校レスリング部は、学年の垣根を越えて力を磨き、新人戦での頂点を目指す。
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