【2025全国高校野球 直前特別取材】魂を込めた150球の先に。双子で同じチームに。

2007年の全国制覇から18年。同じユニフォームに袖を通した選手たちが、ふたたび甲子園の舞台に立つ。チームの中心としてマウンドを守り続けたエース。そして、裏方として勝利を支え続けたマネージャー。
聖地を目指し、ひたむきに走り抜けた夏。その裏側にあったそれぞれの覚悟と、佐賀北への想いとは――。
佐賀北 稲富理人投手
ーーー「気持ちで投げ切った決勝戦」魂を込めた150球の先に
今大会、準々決勝から決勝まで、ほぼすべてのイニングを一人で投げ抜いた稲富投手。
「1イニングを除いて自分がすべて投げて、勝利に繋がったことは良かったと思います。決勝戦の5回、ツーアウト一・三塁の場面で三振を取れたときは、手応えを感じました。」
特に決勝戦は炎天下の中、150球を超える熱投となった。
「暑さも厳しかったし、球場全体にすごく多くの方がいて、応援が後押しになりました。きつかったですけど、北高の皆さんの声援を受けて“頑張ろう”と思えた。最後は気持ちで投げてましたが、その中でも冷静さは保てていたと思います。」
ーーー“がばい”の継承、そして自分たちの色
稲富投手もまた、“がばい旋風”の起きた2007年に生まれた選手のひとりだ。その“縁”をどう感じているのか。
「やっぱり縁を感じます。先輩たちの記録や話題もよく出てきますし。でもまずは、自分たちの野球をやること。“県立高校らしく、北校らしく”を大切にしたいです。」
彼の言う“北校らしさ”とは、具体的にこうだ。
「チーム目標として掲げているのが“元気はつらつ・全力疾走”。状況がどうであっても、元気よく、細かいところも手を抜かずに徹底する。それが佐賀北の野球です。」
ーーー甲子園は、ワクワクが勝る舞台
夢の舞台・甲子園への思いを問うと、稲富投手の顔には笑みが浮かんだ。
「緊張よりもワクワクの方が大きいです。甲子園で“校歌を歌う”という目標に向けて、自分がチームを勝たせるピッチングをしたい。それが一番の意気込みです。」
佐賀北 渡邊歩果マネージャー
ーーー双子で同じチームに
チームの支えとして欠かせないのがマネージャーの存在。渡邊歩果さんがマネージャーになった理由は、
「双子で、もう一人が選手として野球部に入っていて。“一緒に入ろうよ”と誘われて、マネージャーになることを決めました。」
ーーー「“ありがとう”が一番のやりがい」
グラウンドでは裏方として、選手と同じ温度で戦う彼女。やりがいについてはこう語る。
「水分を作ったり、細かい準備をする中で、選手たちが“ありがとう”って言ってくれる。その言葉が何よりも嬉しいし、やってよかったなって思います。」
ーーー支える側として、勝利の一員に
甲子園という特別な舞台に向けて、マネージャーとして意識していることも明確だ。
「試合のときベンチに入るので、選手たちの緊張を少しでも和らげられるように、精一杯声を出していこうと思っています。私自身もチームの一員として勝利に関われるように頑張ります。」
勝ち方も、野球の在り方も、彼ら自身が決めていく。
佐賀北の象徴・“がばい旋風”。それは過去の物語ではない。
あの夏を原点に、今を生きる選手たちが、自分たちの風を新たに巻き起こそうとしている。
佐賀北高校の2025年の夏は、もうすぐ甲子園で幕を開ける。
株式会社WIDE - 永石恒陽